自社製品用の純正部品の拡販に乗り出す

建設機械メーカーは情報通信技術(ICT)を活用し、中国で自社製品用の純正部品の拡販に乗り出す。コマツは2014年度に部品管理システム「コムトラックスパーツ」を導入し、部品交換や修理履歴を管理して顧客に純正品を提案する。日立建機は顧客のニーズに応じて開発したセレクトパーツを用意し、中国で純正品の採用率を現在の1ケタから早期に2ケタに引き上げる。中国で氾濫する粗悪な模造部品や社外製部品の対策として講じ、部品サービスの収益を拡大する。中古車価格を維持し、顧客のライフサイクルコスト(LCC)を削減する。(清水耕一郎)  【履歴を追跡】 機械の稼働管理システム「コムトラックス」は機械の稼働情報を収集し作業や制御の状況を把握する。部品の消耗具合に見当をつけて顧客に部品交換を提案している。これに対してコムトラックスパーツはフィルターやオルタネーターなど部品ごとに電子荷札(ICタグ)を取り付けて部品の履歴を追跡できるようにする。これにより、遠隔で顧客の整備状況や定期交換を一元管理し、よりタイムリーな提案が可能となる。 中国で20トン級の中型油圧ショベルを皮切りに導入。同国では建設機械市場の拡大とともに模造部品が市場に溢(あふ)れ、社外製の部品が台頭。コムトラックスパーツを装備した建機を販売し、例えば機械を酷使する顧客に対し3年間は保証するサービスを提供する。その代わりに、純正品を使ってもらい、模造品や社外品で故障した場合は保証しない。コムトラックスパーツの導入で純正品の使用有無を確認できる。 【機械の見える化】 コマツは13年度を初年度とする中期経営計画で既存事業の成長戦略としてコムトラックスを進化させ、さまざまな“機械の見える化”を実現する。コムトラックスパーツもその一環。ICT技術をツールの一つとして部品サービス事業を強化し、15年度に同事業の売上高を13年度比1割増の4000億円超に引き上げる。 【細かいサービス】 日立建機は第2純正品「日立セレクトパーツ」のアイテムを強化。顧客により機械の稼働時間が5000時間、1万時間と異なるため、純正品でも必ずしも新品同様の寿命は必要ない。新品より寿命は落ちるが、低価格で品質を保証するセレクトパーツを用意し、採用率を高める。 同社の純正品採用率は世界平均で約15%。地域や機種で異なり、日本が6割、鉱山機械は3―4割。特に中国での採用率が低く、1ケタ台。機械の稼働情報や緊急通報を自動でメール配信するサービス「コンサイト」を世界で順次導入し、きめ細かいサービスを提供することで、社外製の部品を使う顧客との接触を増やして純正品への切り替えを促す。こうした取り組みを進め、16年度に部品サービス事業の売上高を13年度比2割増の2000億円超を目指す。 建機の新車需要は春節明け商戦後の中国需要の低迷や鉱山機械の不振で伸び悩んでいる。そのため、建機メーカーは新車の振れ幅に比べ安定した収益が見込める部品需要の取り込みに力を入れて持続的な成長を図ろうとしている。 【名古屋】レーザックス(愛知県知立市、近藤恭司社長、0566・83・2229)は、ハンドトーチ型のパルス発振ファイバーレーザー溶接機「オプティセルFH―300=写真」を発売した。小型ながらピーク出力3キロワットと高出力。ステンレス鋼で最大溶け込み量が2・5ミリメートルと、溶け込みの深い溶接が可能。100ボルト電源で稼働し場所を選ばず各種金属溶接ができる。価格は仕様で異なり1400万円(消費税抜き)から。初年度10台の販売を目指す。 同機の寸法は幅865ミリ×奥行き595ミリ×高さ1415ミリメートル。手持ちのトーチで出射するため狭小部や曲線なども溶接しやすい。冷却方式が空冷式の米IPGフォトニクス製発振器を搭載。冷却水循環装置のチラーが不要なため、作業場所の移動も容易にできる。 ファイバーやコントローラーケーブルの長さが10メートルと長く、長尺物も加工できる。大型部品では同機で仮溶接し、本加工時の治具を不要にするといった使い方もできる。待機時にガイド光が自動照射する。照射ミスが少なく、簡単に扱える。 トーチ型で多いYAGレーザーに比べ、同出力なら消費電力を9割程度削減。消耗部品の交換もほとんどなく、ランニングコストを抑えられる。ピーク出力1・5キロワットタイプや既設発振器に接続することで稼働する発振器なしタイプもある。  【仕事量の安定】 ジャカルタ西方約100キロメートル。PTチレゴンファブリケーターズ(PTCF)はボイラを製造するインドネシアの子会社だ。5月、PTCF社長の梶原幸弘は、訪れたIHI相生工場(兵庫県相生市)工場長の小澤重雄に詰め寄っていた。「人は財産と言うが、ここではそんな生やさしいものではない。操業が落ち、利益を生まなければ給料は払えない」。PTCFの社員は約1300人で半数が契約社員。3度目の契約で正社員化を迫られるため、増産でも雇用には慎重。梶原が念を押すのは安定した仕事量だ。 2020年の東京五輪開催地周辺に本社を構えるIHI。過去、不名誉な意味で「五輪銘柄」と称された。4年に1回程度、屋台骨を揺るがすような大きな損失を出すためだ。07年の監理銘柄指定を機にボイラなどの陸上大型EPC(設計・調達・建設)受注を手控え、リーマン・ショックも重なり、09―13年までの5年間、PTCFの仕事量は半減した。 13年度の資源・エネルギー・環境部門の受注高は前期比約64%増の4946億円。14年度は5400億円と続伸する見通しで「本来あるべき量に近づいてきた」(取締役の浜村宏光)。LNGタンクやボイラなどの大型EPCを再開し、マレーシアの超々臨界石炭火力発電所など大型の引き合いは多い。 石炭火力の需要拡大を見据え、IHIは約10億円投じてPTCFに耐圧部工場を新設した。相生工場から多くの仕事を移し、15年には過去最大の年2万4000トン超の生産を見込む。それでも顧客都合などでいつ仕事が止まるか分からない。梶原はそれを危惧する。 【反対押し切る】 PTCFは耐圧部や配管、鉄骨などを手がけ、相生工場との分業でボイラを製作する。10年以上前「チレゴンなら中国より安くできる」と社内の反対意見を押し切り、PTCFでのボイラ生産を主張したのは常務執行役員エネルギー・プラントセクター長の堂元直哉と相生工場長の小澤。 ボイラ管は「東京―広島間の新幹線のレールと同じ長さがあり、10メートルごとに溶接がある。一つでもクラックが入ればボイラは止めなければならない」と堂元。PTCFとは運命共同体であり、その信頼が大型受注を下支えしている。

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