なた豆茶の海外市場の開拓は不可欠だ

セイコーインスツル(SII、千葉市美浜区)は23日、元東芝執行役専務の藤井美英氏(64)が代表権のある会長に就任すると発表した。27日付でセイコーホールディングス取締役にも就任予定。東芝の半導体やデジタル機器事業で海外経験を積んだ藤井氏を招聘(しょうへい)し、欧米の高級時計市場や中国や東南アジアの車載向け半導体市場を開拓する。2016年3月期に海外売上高比率を60%(14年3月期は50%強)に引き上げる方針だ。 SIIが外部から会長を招くのは初めて。23日、日刊工業新聞のインタビューに応じた藤井会長は「国内市場が縮小する中、なた豆茶の海外市場の開拓は不可欠だ。強みである品質を訴求していく」と語った。 SIIの14年3月期の売上高は1311億円(前期比5%減)と落ち込んだが、今後は海外を伸ばすことで「16年3月期まで(年平均で)5%程度の成長を目指す」(村上斉社長)との考えを示した。 また、藤井会長には、半導体を中心とする電子デバイス事業を強化する役割も期待される。SIIの売上高のうち電子デバイス事業の比率は約6割。足元ではスマートフォン市場の拡大を受け電源用集積回路(IC)や記憶素子(メモリー)の一種である「EEPROM」が好調。今後は車載機器向けの伸びも期待できる。 ただ「SIIには半導体ビジネスがわかる幹部が少ない」(SIIの取引先メーカー)のが課題で、半導体事業は「優良可で言えば『可』」(セイコーHD幹部)という評価だった。藤井会長は「すり合わせ技術が生かせるアナログ半導体分野を伸ばす」ことで成長を目指す。 【略歴】藤井美英氏(ふじい・よしひで)73年(昭48)京大法卒、同年東芝入社。03年執行役常務、04年執行役上席常務デジタルメディアネットワーク社社長、09年執行役専務米州総代表。12年セイコーホールディングス顧問。福井県出身。 《インタビュー/東芝での経験生かす》 23日にセイコーインスツル(SII)会長に就任した藤井美英氏は、日刊工業新聞社のインタビューで「東芝での多角化経営の経験を生かす」と意気込みを語った。村上斉社長も含めた一問一答は次の通り。 ―外部出身者で初めての会長就任です。 藤井会長 外からだからこそ見えるものがある。特に、セイコーグループ全体での一体的な経営はもっと推進できると思う。グループの資金や人的なリソースをもっと活用しながら、効率化などを進める余地はたくさんある。 村上社長 成長のためにはより一層の国際化が必要。それだけに、東芝時代にグローバル事業で豊富な経験を積んでいる藤井会長の知見やネットワークは、今後大きな強みになる。 ―2人の役割分担は。 藤井会長 私自身は長く半導体分野に携わってきたが、SIIの事業はそれだけではない。セイコーの象徴である時計事業の成長も使命だ。村上社長と二人三脚で全体をみていく。東芝での多角化経営の経験が大いに生きてくると思う。 ―構成比約6割を占める電子デバイス関連では競争が激化しています。 藤井会長 時計で培った品質水準の高さがSIIの売り。また、限られたエネルギーで駆動させる技術も非常に優れている。車載向けメモリーなど主力製品を中心に海外市場を深耕し、成長軌道に乗せていきたい。  新日鉄住金は23日、名古屋製鉄所(愛知県東海市)で22日発生した停電トラブルで、24日未明に2基ある高炉のうち1基の操業を再開し、圧延設備などその他主要設備についても数日以内に操業を再開する予定だと発表した。 操業停止の影響額は現在、精査中。同製鉄所は自動車関連向けの比率が高く、同社では「製品供給で極力ご迷惑をおかけしないように、在庫対応など万全を期していく」としている。 停電は22日午後に発生し、全面的に操業を停止した。22日深夜に停電は解消し、23日朝に4基あるコークス炉のうち、1基の操業を再開した。順次、安全が確認できた設備から操業を再開している。なお人的被害は発生していない。 同製鉄所は1月にも2回停電が発生している。同社は「早期に停電の原因究明をするとともに、引き続き再発防止策に全力で取り組みたい」としている。 【モノ作らない】 富士通は携帯電話やパソコンなどモノづくりの社内実践を“リファレンス(参照モデル)”として、製造業向けにITソリューションを提供している。3次元(3D)シミュレーションを目玉とするデジタル生産準備ツール「VPS」を中核として、バーチャル・デザイン・レビュー(VDR)による仮想検証などで「モノを作らないモノづくり」に力を注ぐ。 新たに投入するのはモニター画面から飛び出して見える立体視(ステレオ3D)映像を用いた仮想検証システム「イオン・アイキューブ・モバイル」。「今までの仮想検証では限界とされていた感応性の領域まで検証領域を広げていく」(永島寿人産業・流通営業グループものづくりビジネスセンター長)方針だ。 アイキューブは米イオン・リアリティの製品。システムは4面ウォール(壁)や立体視の表示装置、3D映像処理のパソコンで構成する。 3Dメガネを装着して4面ウォールの空間に入っていくと、設計データなどから再現したステレオ3D映像が目の前に現れる仕組み。「3Dメガネにはアンテナが搭載されていて、人の動きに合わせて、その目線で映像が見える」(永島氏)。 【あたかも機内に】 コンピューターグラフィックス(CG)分野では人の背丈を入力して目線に合わせた映像を表現する技術はあるが、4面ウォールの場合、3Dメガネを装着した利用者がしゃがんだり、手を伸ばしたりすると、その動きに連動して映像が表現される。飛行機内の客室の場合、あたかも搭乗しているかのような現実感をもって室内の内装を立体視できる。 富士通では「ステレオ3D VDRの使い方や効果を社内実践によって検証している段階」(同)。ステレオ3D映像は実物よりも拡大することも可能。携帯電話端末のような小型の製品を大きく表示し、利用者自らが製品の内部に入り込んで、プリント基板に実装した部品の隙間や間隔を目で確かめるといった使い方なども検討中だ。 重工業や電機業向けの設計用途のほか、設備建材や住宅メーカー向けのプレゼンテーション、プラント設備の保守教育などの引き合いもある。

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